ついに乗った!ワクワクと同時に、女一人で乗ってもいいのかという疑問もほんの少し湧いた。
が、とりあえず、船内の様子を偵察しておこうと思う!
乗船して2階にのぼると、まずはNo.50の自分の寝台へ向かった。部屋などにはなっていないし鍵もあるわけではないが、女性専用の区画が用意されていた。
この一番奥が今回指定された寝台。
寝台のレイアウトはこんな感じ。管理人は、寝台No.50のところ。近くにスーツケース等大きめの荷物を置く場所があったので、便利。
というか、執筆中に気づいたが、No.50は上段ではないか!下段のほうが移動しやすいし、何の気もなしに間違えて下段を使っていた。ほんますみませんでした(´・ω・`)。他に寝台を使っている女性客は1人しかいなかったからまだ良かったものの(*_*;
張り紙には、「乗船券に記載されております指定のお室、寝台のご使用をお願いします。」の文言が。
はい、さっそく間違えててすみません…。ご迷惑をおかけしておる…。
さて、気を取り直して。
管理人は初めての寝台、しかも船!秘密基地みたいで、わくわくが止まらない!さっそく自分の基地をカスタマイズする。
枕は船首のほうに向けて設置。ライトがあり、嘔吐袋も用意されていた。画像のように、コンセントもあってちょー便利。カーテンもできるので、最低限のプライベートは守られそうだ。
吊り棚もいい感じに便利。一瞬で自分の部屋みたいになった。順応だけは早い。毛布も用意してあった。布団のシーツは自分で敷く。
じゃ、次は船内を探検!といきたいところだが、なんかもう汽笛が鳴っているぞ?!まだ17時まわってないけど。もう出港するようなのでそのシーンを見届けるべく甲板に出る。
あり?!ほんまに、めっちゃ動いとるやんけ!
まだ17:00前だが、これから15~17時間かかるしね。荷物が積み終わり、全員そろったから出港となったのだろう。
さらば那覇!大東島へ行ってきます!
もうとまりんがあんなに遠くに。那覇を見送ったら、次は船内を探検だ!
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船内のマップ。こんな感じの3階建て。
メインの2階を拡大。
椅子席にはテレビもある。島の人だろうか、慣れた様子で、出港に興奮する様子もなくテレビに夢中。
カウンターには揺れ対策のドリンクホルダー(壁についている黒いの)が設置されている。
カウンターには大東島の校歌が書かれていた。
こちらは南大東音頭。こんな上でカップラーメンなんて食べた日には、緊張してこぼしたりできない感じ。
カウンターの近くには、シンクと電子レンジ、カップラーメンの自動販売機(お湯付き)があった。
洗面台は広くてめっちゃきれい。面白いのは、あらゆる場所に揺れ対策がなされているところ。液体せっけんの容器やごみ入れも、全部粘着テープでくっついているのだ。
お手洗いはシャワートイレで、ここも新しくてめっちゃキレイ。
女性用トイレは個室が2つ、更衣室(右側)もあった。
他には、1階にバリアフリー専用の部屋があり、そこにバリアフリーのトイレもある。
座室という、グループや家族などで使えそうな部屋もあった。「予約者以外立入禁止」と書かれており、予約しないと使えないみたいだ。
使われていないほうの部屋は開いていたので、少し拝見させてもらった。
マットを広げると広めの寝床になりそうだ。船内はだいたいこんな感じ。
次は船外にも出てみよう。
デッキに出ると潮風が気持ちいい。
船尾には貨物が積まれている。車やバイクなども屋外だ。こいつは潮風にやられそうだ。
他の離島便では船の1階が車両や貨物専用のスペースとなっており、船内なので潮風や水しぶきに当たらないようになっている。しかし、大東島では最終的にはクレーンで持ち上げて上陸させるため、屋外のまま移動させるしかないのだろう。
18:00になる。日が暮れてきた。10月も下旬だが、さすが南西諸島。まだまだ日が長い。
マストを見上げると、船旅を実感する。ベンチはしっかり固定されている。
だいたい船はこんな感じで、船内をまわっていると今回の乗員メンバーさんの顔も見慣れてきた。人数はおそらく20人前後、そのうち、島関係者と思われる家族連れ、仕事の人が大半、純粋に観光で来ているだろう人は、自分ともうひとりかふたりいるかいないかといった様子だ。
18:45。外はすっかり暗くなった。お腹が空いてきたので、ユニオンで買ったゴーヤーチャンプルー丼を食べよう。カウンターで、窓の外を眺めながら。これをやってみたかったのだ。
まあ、暗いし階段しか見えなかったが。
ダイソーで買った蓋つきコップもちゃっかり活用し、お茶パックを淹れた。旅にはいつもティーパックやドリップコーヒーを持ち歩いているが、こういうときに便利。
19:00すぎ。あたりは真っ暗。遠く、本島の街の明かりが見える。
これから太平洋へ向かって繰り出す。周りに島は何もなくなるのだ。そう考えると、世間と切り離されたような、何とも言えない心細い気持ちになった。
ひとしきり旅情にひたったら、船内へ戻る。ちょっと疲れたし、寝台で横になろう。
横になる前にお手洗いに行っておこうと思い、個室に入ると、
「き、気持ち悪…っ」
急に気持ち悪くなった。そうだ、ダイビングでよく経験するが、船のトイレに入ると急激に船酔いするやつだ。揺れている船で狭い場所に入るのは良くない。乗り物酔いのときは遠くを見ると楽になるが、それと正反対のことをしているためだ。
とはいえ、目をつぶったままではトイレは済ませられない。地味に揺れを感じ、よたりながらの狭い場所は悲惨。そっこーで個室を飛び出た。
そろそろ周りに波をよける島もなくなり、大海原に出てきたころか。
寝台に横になり、眠りにつくとしよう。
「気持ち悪いやんけ…」
横になって初めて気がついた。吐き気や嘔吐があるわけでもないが、地味に気持ちが悪い…。頭がボーッとする。さっきのお手洗いの個室もこたえているのだろうが、それまではなんともなかったのだ。
横揺れはほとんどないのだが、縦揺れが大きく、大きく、何度もゆーーーっくり繰り返す。寝ていると頭のほうから徐々に持ち上がり、腹がトップになったのを感じると、最後に足のほうが上がっていく。これが何十秒もかけて周期的にくるのだ。
これは、吐き気止めを飲んで寝ておいたほうが身のためだ。
気持ちが悪いので何回も寝返りをうち、枕の位置をかえてみたり、落ち着けるフォーメーションを模索する。
このとき20:49。携帯を確認すると圏外だった。気持ち悪いうえに通信も途絶えたなんて、じわじわと追い詰められているようだ。することもなくなったので、もう寝よう。
ふと気づくと時計は午前2:00をまわっている。5時間くらい浅い眠りについていたようだが、やはり基本、興奮気味であるせいか、
「大東行きの船なう!」
と思うと、ワクワクしてきた。起きてまたデッキに出てみる。(アホ)
丑三つ時の海。真っ暗だ。
周りに島の明かりなど全く見えず、完全な闇。柵の向こう側は、海であることすら分からない。風の音と、船が波を切って進む音しか聞こえない。この世に自分だけしかいないのかと錯覚する。闇に吸い込まれそう。(←闇は人を詩人にする。)
午前2:40。いちおう、海を撮ってみたが、真っ暗すぎて逆にこんな写真初めて撮れたで。
携帯は圏外、真っ暗闇、こんな夜中にデッキに人はいない、の三拍子がそろって、いよいよ得体のしれない恐怖を感じる。「海の魔物」がいるとしたら、こういう気持ちそのものなのかもしれない。こんな時間にこんなところでデッキから落ちようもんなら、太平洋にひとりぼっちだ。人間の小ささと無力さを感じて思考が停止する。
那覇と大東諸島の間には、水深7500mにも達する琉球海溝があるという。今、まさにその上を渡っているのだ。そんなとき、人はこんな気持ちになるのかな。
わずかな明かりで、貨物が見えた。ボーッと浮かぶ光景が怖いやんけ!
今回やってみたかったことのひとつに「船内で真夜中のカップラーメン♪」があったのだが、なんかそんな気分ではなくなってしまった。真夜中の海に圧倒されてしまった。まあ、単に気持ち悪くて食欲がわかないっていうことなのだが。
気持ち悪さ解消のために、椅子席に座ったり風に当たってみたりしたが、だめだった。やっぱり寝てしまうのがイチバンかも。
もう午前3:00をまわる。今回のスケジュールは北大東島先行。北大東島に着くまで、おとなしく寝ていよう。
夜明けは、まだか!
とまぁ、こんな感じで夜の海の得体の知れない恐怖は感じましたが、女一人で「だいとう」に乗っていても、何の不都合もありませんでした。係の人も巡回してくれていました。設備も整っていて、お手洗いと洗面台がきれいなのがポイント高いですね。
強いて言えば弱点は、シャワーがないことくらい(時間があれば昼過ぎに那覇で温泉に入ってくるといいかも。那覇の温泉は【南大東島②】(準備編)を参照)。乗船している人は、だんだん顔を見慣れてくると挨拶してくれるような、そんな素敵な方々ばかりでした。
■この記事のシリーズは、こちらからリンクできます。
【南大東島①】(予約の章)
【南大東島②】(準備編)
【南大東島③】(船旅の章)※この記事はこれ
【南大東島④】(北大東島寄港の章)
【南大東島⑤】(南大東島上陸の章)
【南大東島⑥】(地底湖探検の章)
【南大東島⑦】(星野洞の章)
【南大東島⑧】(夕日と珍味の章)
【南大東島⑨】(民宿きらく家の章)
【南大東島⑩】(地方気象台の章)
【南大東島⑪】(産業まつりの章)
【南大東島⑫】(移動手段情報の章)
【南大東島⑬】(バイクで島を一周の章~前編)…大東神社、大東そば、南大東漁港
【南大東島⑭】(バイクで島を一周の章~中編)…バリバリ岩、本場海岸、オヒルギ群落
【南大東島⑮】(バイクで島を一周の章~後編)…秋葉神社、日の丸山展望台、海軍棒など
【南大東島⑯】(最終日の章)
【南大東島⑰】(旅立ちの唄~十五の春~の章)
(おまけ・南大東島と「進撃の巨人」が似ている件)