首里城全焼の喪失感と自分にできること
いままでに何回訪れただろうか。内地から50回ほど沖縄に訪れ、そのうち10回くらいは首里城を観に行っている。
その首里城が、昨日の朝イチで全焼したと聞いた。最初は信じられなかったが、ニュースの燃え崩れる首里城を見て、本当なのだと認識せざるをえなかった。
そして今朝になって、昨日のことがウソであってほしいと願いながら起きた。あたりまえだが、現状は変わらない。首里城全焼。つい一週間前には近くにいたのに。
琉球新報では、「ぐしく(お城)が燃(む)えとーさー」と手を合わせて泣かれているお年寄りが報じられていた【「あの時」と同じように首里城が燃えている】。燃えてしまったのはまだ実感ないが、悲しんでいる人が確実におられるのが伝わってきて、いたたまれなくなり、こちらも泣けてきた。
いま、那覇市やクラウドファンディングで寄付金を募っている。当日のうちは現地での募金箱しかなかったようだが、2日目になって早くも口座やクレジットカードでの決済ができるようになっていた。で、さっそく募金をさせてもらった。【首里城火災に対する支援金|那覇市】
これまでにも災害などが起こるたびに募金や寄付といったことはしてきたが、今回はいっそう思い入れが強く、自己満足かもしれないがめっちゃ募金をしたいと思っていたので、微力ながら少しは役に立てるかなと。また旅行させてもらうときにでも、現地でちょいちょい募金をしていきたいと思っている。
現状、まず自分にできることはこれしかないが、一歩でも前に進む力になれば、沖縄に恩返しができるかもしれない。
(追記)琉球新報の【デジタルで首里城復元 「再建までの観光資源に」 東大講師ら 写真募り3D化】の記事のとおり、いろいろな角度から撮影した首里城の写真を、全世界から募集しているようだ。
【みんなの首里城デジタル復元プロジェクト】には、誰でもデータを送信でき、貴重なデータとして活用してくれる。ぜひ在りし日の首里城の写真を寄贈したい。
在りし日の美しい首里城を残したい
他に自分にできることはないか、考えた。
ニュースやツイッターに流れてくる首里城の姿は、痛ましく悲しいものも多いので、せめて元気なころの美しい画像を残したいと思った。
自分が初めて首里城を訪れたのは小学生のころ。まだ正殿しかできていない時代だったが、朱色の美しく沖縄らしい建物を観られて良かったと思った。
その後、自分で自由に旅行に行ける年齢になり、何回も沖縄をリピートするようになると、同行の友人も一度は必ず首里城に連れていった。そして、また別の友人も。そのまた別の友人も。
首里城の近くに宿泊したときは、夜中の静かな首里城を歩いて観に行った。ライトアップされた首里城と城下町の夜景がきれいだった。自分ひとりでも観に行った。
仲間由紀恵さん主演の琉球王朝を舞台にしたBSドラマ「テンペスト」のロケ地も訪れた。ドラマの中では、首里城が美しく撮影されており、龍潭池もちゃんと観てみようと思うきっかけになった。
そんな思い入れのある首里城が、一瞬で燃え崩れたのは、いまも信じがたいし意味が分からない。写真に残っているのは、沖縄に行けばあたりまえにあった、美しく立派な首里城。これが、今はもう何ひとつないなんて。
急に貴重な写真になってしまったかのようだが、自分が持っている在りし日の首里城の画像を放出していきたいと思う。自分だけで持っているより、みんなにも見てもらったほうがいいと思ったので。
晴天に映える朱色の首里城
たまに、正殿の御庭の観光客が、みんなはける時間帯がある。その一瞬で撮った、朱色と青空のコントラストが強い首里城。
ドラマのワンシーンかのような首里城が撮れた。お城が赤いというのは本当に珍しい。首里城を守る屋根の龍が立派。
城内で、こんなクイズが出されていた。正殿の両脇にかまえる2頭の龍。琉球王国は中国に準ずる国として、龍の爪は4爪にしてあるという。
そのとおりに、4爪になっている。この龍柱は火災から焼け残り、いまSNSでは「奇跡の龍柱」「復興のシンボル」といわれている。
正殿を下から見上げたようす。装飾が豪華で美しい。屋根の上の龍のひげが、ちょろっと見えているのがかわいい。
奉神門。この門が入り口で、ここから入ると、あの有名な正殿が真正面に見える。
「中山世土(ちゅうざんせいど)」の文字が掲げられた玉座。これも燃えてしまったそうで、残念でならない。
なんかあった椅子。
ぶれてしまったが、玉座とは別に、実際の政治はこちらで行われていたそう。
青空に映える朱色。
チケットとともに。
城内には、琉球王朝時代の役人の格好をしたスタッフがいる。
BSドラマ「テンペスト」の世界みたいだ。
横から見た正殿。やっぱり龍のひげがぴょっと出ているのがかわいい。左上の紫の光が気になる。
※追記 火災の発生箇所は正殿北部の東側ということが判明したようだ。ちょうどこの辺りの左奥になる。
首里城は、BSドラマ「テンペスト」の舞台
仲間由紀恵さん主演のNHKドラマ「テンペスト」は、琉球王朝が舞台となっている。ドラマは全10話、番外編で3D映画にもなった人気作品だ。
「テンペスト」は、首里城に始まり、首里城に終わる、琉球時代の沖縄感たっぷりの王朝ドラマである。
主人公の寧温(ねいおん)は、家族のため女であることを隠し役人として首里城で働き始める。寧温は琉球を守るため、持ち前の知恵とコミュニケーション力を武器にして、薩摩や外国との交渉事をうまくまとめていく。精進するにつれて敵は多くなっていくが、薩摩の武士 朝倉が寧温の助けとなる。王朝ドラマ特有の豪華な衣装も見どころ。寧温の人間力が際立って素晴らしく、ところどころに沖縄のきれいな海の映像もあり、最初から最後まで引き込まれる内容になっている。
美しい首里城の姿がたくさん出てくる、いまや貴重な作品だ。管理人も、もう一度観なおしてみようと思う。
【テンペスト DVD BOX】
【テンペスト Blu-ray BOX】
ドラマの主題歌【Tempest(テンペスト)】は安室ちゃんが歌っている。雄大な琉球の海を思わせるようなゆったりとした曲だ。”時はめぐり 再来の風に吹かれて”という歌詞が、ドラマのストーリーをうまく表現しているなぁと思う。
首里城、鎖之間でお茶タイム
暑いなか歩いてきて、鎖之間に到着するとお茶コーナーがある。ちょうど疲れたころ、カフェ的に利用できて便利。
役人たちが懇談する場所だったという。
500円で、琉球のお茶とお菓子がいただける。
スタッフがお菓子や鎖之間の解説をしてくれる。
高級な場所で、ゆっくりと休めるのは良かった。贅沢な気分にひたれるし、ふつうに休憩できてありがたい。
ちんすこうは、れっきとした琉球のお菓子!
鎖之間も全焼とのニュースが入った。「わだかまった松」も、燃えてしまったのだろうか。
わだかまっている。
ソテツと松を交互に植えてあるという。わだかまって(?)いる。
和風と南国風が混ざった素敵な景色。ここで何時間でもお茶したりわだかまりながら寝ころがったりしてみたい。
首里城公園シールがもらえました!
新しく再建した際も、絶対お茶コーナーを作ってください!ゆっくりしに行きます、
その他、殿内のようす
こういった道具なども燃えてしまったのだろうか。
約30年かけてやっと完成したところなのに、残念でならない。
城内に設置されていた模型だと、王様へのあいさつはこんな感じっぽい。
役人は位によって、着物の色が分かれている。
戦争でも残ったオリジナルの城壁が見られる床下の展示。
正殿周りと首里城からの風景
白く曲線を描いた城壁が美しい。
ここは、首里城を訪れた際に最初に目にする場所。
シーサーが守る歓会門。その名のとおり「歓迎する」という意味。
首里城を守る、由緒正しいホンモノのシーサーという感じ。中国風で、貫禄がある。
龍樋(りゅうひ)。王宮の飲料水はここから使われたという。龍は、約500年前のもの。ここは石なので、火災は無事だったのかな?
園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)。
2000年に、世界遺産に登録された由緒正しい門。ここは、火災を免れたようす。少しでも残ったものがあるのは、良かった。
首里城は、スタッフが役人の格好をしているのがイイ。「テンペスト」の世界感で、萌えですね。
瑞泉門(ずいせんもん)。「立派な、めでたい泉」という意味。瑞泉酒造の琉球泡盛「瑞泉」は、ここから命名されたとのこと。
城壁から見た那覇の街。
2012年。まだ工事中のところだったのかな。
守礼門は、火災から免れたみたいだ
2000円札のモデルになった守礼門は、正殿から離れているため無事だったようす。
「守礼の国」とは、「琉球は礼節を重んずる国」であるという意味。
琉球王朝っぽい守礼門だけでも残ったのが幸い。正殿はなくなってしまったが、守礼門だけでも観ようと足を運ぶ人もいるみたいだ。
この門をみるとき、無印ドラゴンボールのエンディングをいつも思い出してしまう。
ブルマがたたずんでいる中国風の門にそっくりですよね。
12月1日のNAHAマラソンに訪れたときには、残った守礼門だけでも見ていこうと思う。
石畳の道
金城町石畳道。ゆいレール「首里駅」からは1.2kmある。徒歩15分くらいだ。タクシーだとすぐ。
「首里駅」からすぐに首里城へ向かうこともできるが、周り道をして石畳を歩きつつ首里城公園を訪れるのもオツ。
観光客はあまりこちらの石畳から来る人はいないが、石畳を登りきるとすぐに守礼門があるので、コース的にも良い感じだと思う。
琉球の昔の役人が通った道らしい。
これは途中にある休憩所。
きれいな建物だ。
休憩所は、赤瓦の沖縄らしい建物。
畳の部屋でゆっくりできる。観光客に嬉しい。
石畳の途中には、美しい赤瓦が。
理想のシーサー。
石畳の入り口からは10分くらい登れば、首里城公園だ。
石畳の上からは那覇の街並みが望める。
よくガイドブックに載っているところ。住居もあるので、数人だけで静かに訪れるのが良いと思う。
白い石畳の道が生える。良い写真が撮れる。
沖縄民謡「芭蕉布」の、”首里の古城の石畳~♪”という歌詞を思い出しながら登りたい。
この木が生い茂る道を抜けると首里城公園だ。
金城石畳道には、沖縄っぽいレストランと眺めの良いカフェがある
沖縄情緒たっぷりのお屋敷でごはんがいただける「首里殿内」
有名な「首里殿内(すいどぅんち)」。石畳道に入ってすぐ左手に位置する。
オシャレな赤瓦の建物で、美味しいランチがいただける。夜も雰囲気のある殿内で沖縄料理が楽しめる。
お庭も素晴らしい。本格的な沖縄風の造りで、琉球王朝を感じられる。こんなところでごはんをいただけるなんて、贅沢だ。
立派な赤瓦、品のある雰囲気の建物で沖縄料理がいただけるので、めっちゃ気に入っている店。
【公式:首里殿内】
【食べログ:首里殿内】
眺めの良いカフェ「石畳茶屋 真珠」
石畳を登り切ったあたり、ちょうど疲れて休みたいところにオシャレなカフェ「真珠(まだま)」がある。
気持ちのいいテラス席でお茶できる。
南国風の植物。
ここも、お気に入りのカフェだ。
ちょうど、かたぶい(ウチナーグチで「通り雨」のこと)が向こうからやってきた。
上から眺めると、すごい。局地的に降っているのが一目瞭然。
キレイな景色を眺めながら一杯やろう。
こんな感じで、首里城は、お城だけでなくいろいろ楽しめる場所がある。
【公式:石畳茶屋 真珠 オフィシャルブログ】
【食べログ:石畳茶屋 真珠】
首里城のライトアップ
夜の首里城は訪れたことがあるだろうか?ライトアップされていてとてもキレイなのだ。
雰囲気バツグン。
月と奉神門(ほうしんもん)。
勧会門も夜は独特の雰囲気。
琉球王朝の昔のよう。
右手の奉神門(ほうしんもん)は一部が燃え、左手の北殿は全焼とのこと。
夜の瑞泉門もカッコイイ。
夜、首里城の周りを散歩すると雰囲気があって良い。
遠くからも、ライトアップされた首里城が見える。
龍潭池(りゅうたんいけ)。夜はちょっとこわいかな。
勧会門を守るシーサーが、灯りに照らされている。
いかにも王朝という感じの、重厚な雰囲気。
守礼門のほうに向かって歩いてみる。
夜の守礼門。
首里城は高台にあるため、美しい那覇の夜景が見られる。
ライトアップされた守礼門。
人もほとんどいないので、ゆっくりできた。たまに近くの学校の部活帰りか、生徒さんたちが通っていった。
首里城に行きたい
写真はここまで。何度も訪れた首里城を見返すと、本当に美しいお城だと改めて感じた。
写真を見ていると、まだ火災に遭ったなんて信じられないし、訪れればこの姿のまま見られると思ってしまう。
首里城に行きたい。行けば当たり前のようにあったのに。今さらと言わずに、もういちど見てみたい。今は叶わないのだが…。
せめて、次回NAHAマラソンで沖縄を訪れたときには、首里城公園に足を運んでみようと思う。なくなった姿を見るのに耐えられるか分からないが…。
▼あわせて読みたい【NAHAマラソン後に首里城を訪れてみた】
いま自分たちにできることは、再建に向けての募金だと思う。那覇市などを中心に行っているので、ぜひ。
【首里城再建募金 一覧】
少しでも前進する力になれればと願って。チバリヨー!うちなー!
(合掌)