【南大東島④】北大東島に寄港したら、物流が面白かった!~南大東島旅行記~(北大東島寄港の章)

前の記事は【南大東島③】(船旅の章)を参照。

待ちに待った夜明け、北大東島に接近

夜明けとともに島に接近

かつて、こんなに夜明けを待ったことはないと思う。

結局、浅い眠りしか得られなかったが、やっぱり

「大東行きの船なう!」

と思うと、覚醒してしまう。とは言え、船の縦揺れをずっと感じているのはつらたんなので、本当に、夜明けが待ち遠しかった。

今回の航海は北大東島先行で、北大東島に寄ってから南大東島に到着する。ということは、なんと、クレーンイベントが2回も見られるのである!

6:40、遠くに島影が見える。夜中だったのもあるが、航海中ずーーーっと何も見えない海だったので、陸が見えたという事実に安堵した。

6:45。ふとスマホを確認してみると、電波が入っていた。島は近い。今日び、何時間も通信できない状態というのは滅多にないことなので、ようやく連絡できる安心感を得る。

7:00前。北大東島に近づくと、断崖絶壁に打ちつける波しぶきがすごい。島の岸壁に沿って波が走り、大きくうねっている。東映の10倍以上はありそうな波だ。断崖を乗り越えて、上の陸地にまで到達している。ここ最近、天候は安定していたはずだが、これがふつうなのか?

北大東島に接近

けっこうでかめの音量で、船内放送が流れる。「北大東島に到着するので、降りる人は降りてください」という旨の内容だった。

よし!このままデッキで接岸シーンを見てみよう!野次馬だ!

デッキには北大東島で降りる人と、管理人と同じように野次馬らしい人がパラパラといた。

ミストのような小雨が降ったかと思うと、虹が現れた。こいつは幸先がよい。

なぜクレーンで上陸?

しかし、そもそも、なぜクレーンで上陸なのか。

それは島の周りの水深が深すぎて、大きな港が作れないためである。一目で分かる地形は、南大東島気象台のHP参照。

ふつう陸は海に続いてだんだんと深くなっていくため、防波堤など建設しようもあるのだが、大東島は断崖絶壁の島で、陸から海へはすぐにストン、と深くなっているのである。島を囲む海はその深さ2000m、もう少し沖へ出ると4000m。そんな海で人間の力では防波堤なんて建設できないのである。

そのため、島を削る方法(初めて知ったときはなるほど!と、とても感動した)で港が作られている場所があるが、ここは漁船など小さめの船専用で、貨客船は入港できないようである。

以上の理由で、現在でも港(防波堤)がない場所に船を寄せるしかないのである。波を避ける防波堤がないので、当然、太平洋ど真ん中の高い波が直接船に押し寄せてくる。すると、ふつうの船のようにピッタリと陸につけることは不可能で、陸と船と10mほどスペースを空けた状態での着岸となる。

 

北大東島での荷役作業

まずは船を固定する係留作業

あのクレーンが待機している場所に向かう。防波堤も何もない港は初めてみる。

係留作業は、陸と船をつなぎ、船と海に浮かぶブイをつなぐ。それをそれぞれ船首と船尾で行うのだ。

7:05、「だいとう」が定位置に着くと、まずは陸からおもむろに、クレーンで小型船が海へ降ろされた。

何するん?と思っていると、小型船が適度な位置に着いたところで、だいとう」から海に向かって大砲のようなもので細めのロープが発射された。それを小型船が拾う。細めのロープは、本体である太めのロープにつながっている。その太いほうを海に浮かんでいるブイに固定する、というシステムだ。小型船は、作業を終えるとまたクレーンで引き上げられ陸に戻っていく。

陸のほうは陸の方で、これまた「だいとう」からロープが発射される。人間が投げて届く範囲ではないため、「発射」される。

構えて、

発射!

おもり(黄色いもの)につながったロープが、陸に向かって一直線!(写真は南大東島での様子)

陸担当の人がロープを拾う。引き揚げたロープの先に、本体の太いロープがついている。

それを地面から出ているフックみたいなもの(港で海の男が片足乗せてポーズを取ってそうなやつ)にひっかけ、しっかりと固定する。

10分くらいで、最終的に、このように係留された。

作業開始から常に、船は波で上下するし、左右の傾きもすごい。こんな中での作業は、あっぱれとしか言いようがない。ずーっと作業に見とれていた。

大東島ではどんな感じで船が係留されるのか初めて知り、感動した。

ゴンドラがクレーンで吊りあげられ、人が上陸

係留が終わると、陸で待っている銀色のゴンドラが、クレーンにつながれる。

クレーンで、人間用のゴンドラがブーーーン!って感じで運ばれてきた。

定員10名ほどの乗り物だろうか。

北大東島で降りる人たちが、手荷物を持って乗り込む。

「だいとう」から弧を描くように陸に向かい、着地。30秒ほどだろうか、一瞬の出来事だった。

 

貨物や車両も次々と宙を飛んでいく

次は、貨物の積み下ろしと積み上げだ。最初に、クレーンゲームのようなフックが飛んできた。

フックの先をコンテナに固定する。

コンテナに鎖が固定されると、クレーンで持ち上げられ宙を飛んでいく。

次々とコンテナがクレーンで積み降ろされる。

フックの先が他の車両等にぶつからないよう気を使ったり、技術も必要で、大変な作業だ。

車両も同じように固定されて、

宙を飛んでいく。車両がおもちゃのように見える。

器用に陸に着地させ、フックが外される。

この間、クレーンを操作する人、貨物をクレーンにつなげる人、クレーンから外す人、安全確認をする人など、すごいチームプレーで作業がこなされていく。

クレーンについては、ダイナミックかつ繊細な操作が必要となるだろう。

本当にすごいとしか言いようがない。プロの海の男たちの仕事に拍手‼︎

この時点で7:20だった。荷役は続きそうなので、朝ごはんを食べていよう。昨夜は「真夜中の船でカップラーメン♪」が出来なかったので、今日の朝ごはんにもやしラーメンを食べることにした。

荷役作業はけっこう長い

朝ごはんを食べてひと眠りし、デッキに上がるとまだ作業が続いていた。時計は9:35。

那覇から島へ仕事に来たというおじさんと話した。夜、船の揺れがすごかったですね、と言うと、これは全然ふつうだと教えてくれた。今のこの揺れも島に押し寄せる荒波も、通常運転らしい。おじさんは荷役を見るのが面白くて、何回も見ているとのこと。

物流、って感じだ。

作業員の人たちもゴンドラで飛んでいた。

北大東島を離れる

最後は船が離れるために、係留してあったロープを外す作業。

9:40、また小型船がクレーンにつながれる。

海に降ろされると、ブイにつながれているロープを外しに向かう。

日が高くなってきた。大東島の海は全く濁りがなく、透き通っている。きれいすぎてこわい。他のどの離島の海の色とも違う。

作業を終えると、また小型船が陸に戻っていく。

9:45。「だいとう」が係留していたロープを引き上げると、小型船がクレーンで上陸するのを待たずに、南大東島へ向けて出発。

北大東島を離れる。荷物の量によるだろうが、北大東島へ着岸している時間は2時間半以上だった。その間、ずっと荷役作業は続いていたようだ。本当に、着岸するだけでこれだけの大ごとになるのが大東島。

船が島から離れても、興奮冷めやらぬ。本当に、見れて良かった。眠くても絶対見るべき!

ありがとう、北大東島!今回は立ち寄っただけだったが、いつか北にも来よう!あばよーい!

次はいよいよ南大東島へ向かう。

 

 

【南大東島⑤】(南大東島上陸の章)へ続く。

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